2009年3月  

ちょっと歴史の話をしましょうか。

2008年9月6日土曜日

第二次世界大戦の末期、1945年7月31日夜に、「リーフレット心理作戦」と呼ばれる、当時のアメリカ軍のB29爆撃から空中散布された日本国民に対しての降伏及び非難を促すビラが空中散布されました。その実物が下の写真です。


内容を見直してみましょう。

「日本国民に告ぐ あなたは自分や親兄弟友達の命を助けようとは思いませんか 助けたければこのビラをよく読んで下さい 数日の内に裏面の都市の全部もしくは若干の都市にある軍事施設は爆撃します この都市には軍事施設や軍需品を製造する工場があります 軍部がこの勝目のない戦争を長引かせる為に使う平気を米空軍は全部破壊します けれども爆弾には目がありませんからどこに落ちるか分りません 御承知の様に人道主義のアメリカは罪のない人達を傷つけたくはありません ですから裏に書いてある都市から非難して下さい アメリカの敵はあなた方ではありません あなた方を戦争に引っ張りこんでいる軍部こそ敵です アメリカの考えている平和というのはただただ軍部の圧迫からあなた方を解放する事です そうすればもっとよい新日本が出来上がるんです 戦争を止める様な指導者を立てて平和を恢復(※回復)したらどうですか この裏にか書いてある都市でなくても爆撃されるかも知れませんが少なくともこの裏に書いてある都市の内必ず全部若しくは若干は爆撃します あらかじめ注意しておきますから裏に書いてある都市から非難して下さい」


裏面:

B29の集中爆撃写真と共に都市名が書いてあります。

「長野・高岡・久留米・福山・富山・舞鶴・大津・西ノ宮・前橋・郡山・八王子・水戸」

では、上記に何の軍備施設及び軍需品が有り、どのような被害が有ったのか調べてみましょう。

長野:長野市に松代大本営という巨大な地下壕が建設途中でした。これは、海から遠く、首都機能を移転させる予定だった地下軍事基地のようです。それと、愛国長野飛行場が有りました。沢山のゼロ戦が有り、松代大本営を防衛してそうです。


高岡:特に目立つ軍施設等は無く、実際行われた空爆も市街地を目標とした模様です。


久留米:国鉄久留米駅や鉄橋ゴム工場等が当初目標だったようですが、実際は市街地焦土計画のようです。


福山:軍事工場が多数存在し、人口密度が高い事があげられる様ですが、ただ、倉敷では水島エリアに一式陸上攻撃機を生産する三菱重工業水島航空機製作所が有り、この時は空爆を逃れているようです。また、大原美術館が有り、それも空爆を逃れた理由とされているが否定的意見も多いようです。


富山:不二越製鋼東富山工場、日満アルミニウム東岩瀬工場等、これらはビラが配られる前に空爆されており、実際は住宅街への焼夷弾による攻撃。原爆投下の予行練習を行った「パンプキン作戦」も実施されているようです。


舞鶴:攻撃目標は軍港


大津:郊外に点在していた軍の工場(詳細不明)が爆撃を受けたが市街地は爆撃を受けていない。


西ノ宮:西ノ宮 御影地区に重点攻撃


前橋:市街地爆撃でその80%を消失しています。製糸業が盛んに行われ軍備工場も存在していましたが詳細な状況が不明です。


郡山:富久山工場(日東紡績)、保土ヶ谷工場(軍事化学工場)等が有ったようですが、これらの工場は、1945年4月に空爆を受けています。


八王子:焼夷弾67万発により、旧市街地の約80% を焼失


水戸:市街地の3/4を焼失。水戸城天守閣焼失

空爆被害は他に沢山の方が亡くなられ、実際の人的被害や生産被害も公表よりもかなり有った事でしょう。

1945年になると、日本軍は、その殆どで空爆に関する回避行動が取れていない為、一般人の被害者が多く出た年でも有ります。沖縄にいたっては占拠され、日本本土への空爆基地として利用されていました。

今回は、たまたま戦争中に配布された資料を見つけ、調べてみようと思いここまできましたが、それぞれ、そこに住む人達には忘れらない過去の事実であります。調べている中で戦争の是非を問うような事が書いてあるのは少ないのですが、過去を思い出し、同じ過ちを犯すまい。の様な内容が殆どです。

しかし、その同じ過ちとは?なんですか?。天皇崇拝?日本が同盟国に参加?真珠湾攻撃?神の国?という思い?・・・?

日本の市民はアメリカを相手に戦争を始める事も知らされず、その時を統治していた閣僚の判断によって戦争が勃発しています。当時は帝国主義の日本ですから、国民が声を上げて政治批判をすることは無かったですが、その統治する中にも戦争勃発に反対意見を述べる人が居ても良かったと思います。いや!居たと思いますが、時代がその意見を許さなかったのでしょうね。でも、今の日本は違います。政治家に対しマスコミ等通じ意見を述べる事も、選挙で投票もできます。もう二度と戦争と言う言葉が実際に使われない世界になりますように・・。




0 Comments: